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2019年コロンビアのボゴダで行われた 第14回無形文化遺産保護条約政府間委員会(ユネスコ)で、タイ古式マッサージ、ヌアット・タイ(Nuad Thai, นวดแผนไทย)が 世代を超えて継承すべきものとして 無形文化遺産に登録されました。
タイ古式マッサージ(タイ式マッサージ・タイマッサージ・古式マッサージとも呼ばれます)はタイの伝統医学の1つであり、古代インドの伝統医療アーユルベーダと、古代中国の伝統医療である中医学の影響を受けてきました。その歴史は古く、ブッタの主治医だったシヴァカ師が開祖といわれ、約 2500 年前に仏教とともにタイに伝わり現在まで受け継がれています。

タイ古式マッサージは、頭の先からつま先まで全身くまなくマッサージを行います。タイ古式マッサージでは指や手の平だけではなく、ヒジやヒザ、足など体の色々な部位を使い筋肉や腱を刺激していきます。またタイ古式マッサージには鍼灸のツボに相当する「セン」と呼ばれる人体を流れるエネルギーラインがあります。ゆったりとしたリズムで刺激しエネルギーの循環を促しこり固まった筋肉をゆるめて、血流が促され、自律神経のバランスが整い、人間が本来持っている免疫力や自然治癒能力を高める効果があるとされています。
また、ストレッチを行いながら体をほぐしていくのもタイ古式マッサージの特徴の一つです。時にはアクロバティックな体位でになることもありますが、ストレッチを行うことにより柔軟性を高め、疲れがたまりにくい体に変えていきます。タイ古式マッサージは「二人でするヨーガ」もしくは「怠け者のヨガ」といわれることもあるそうです。

タイ古式マッサージは「痛いんじゃないの?」「体が硬くて無理!」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、決して痛みを伴ったり、無理な姿勢を強いたりするマッサージではありません。お客様のお身体に合わせて技や力加減を調節しています。
タイ古式マッサージを受けている時は半覚半眠の状態になり深いリラックスの状態になります。まさに瞑想の状態で精神が安定していきます。タイ古式マッサージは「世界で一番気持ちいいマッサージ」ともいわれています。カラダとココロがふわっと解放されるのをきっと体感できるはず。普段の生活で疲れた体を、タイ古式マッサージで癒しませんか?

タイ古式マッサージの手順

時間かけてゆっくり行う

タイ本国でのタイ古式マッサージは、本来、約2時間から3時間かけて全身の施術をおこないます。 部分的な筋肉のマッサージではなく全身を施術をおこなうマッサージなのです。人間の身体には大小600を超える筋肉が存在し、指一本を動かすにしてもそのたくさんの筋肉が複雑に関係し助け合って動いています。このため腰の不具合であっても足の裏の筋肉が関係しているということもあるのです。タイ伝統医学に基づくタイ古式マッサージは部分的な不具合であっても全身のバランスをとるように考えて、 このように長い時間をかけてゆっくりゆっくり全身を施術 しているのです。

足は身体の土台です。

タイ古式マッサージの流れを説明します。タイ古式マッサージでは、まず足からスタートします。 足裏を圧迫することで筋肉、血管、神経を刺激し、血液の循環を促します。そして足裏をほぐすことで足首がしっかり動くようになりふくらはぎから脚上部の腿の筋肉もほぐれるようになります。脚の筋肉は腰部で上半身の筋肉とつながっているため、足裏ほぐしの効果は上半身にも関係してきます。 また足の裏や甲には、自律神経など全身をコントロールする神経が集中しています。 この足の裏と甲の反射区を刺激することで体調を整え、自分自身の力で健康を維持させることができます。

脚の施術には時間を掛けます。

次に、脚全体をエネルギーライン(セン)に沿って施術します。脚には6本のセンがありこれを親指で圧迫した後、手のひらので圧迫というように、何度も往復します。エネルギー(気)の流れを促し、血液やリンパの循環を促します。また脚には身体の筋肉の2/3があり、一つ一つの筋肉も大きなものです。このため脚の筋肉の動きが悪くなってしまうと上半身の動きも制限してしまいます。このため脚部分の施術だけで40分から1時間以上をかけてしっかりほぐしていきます。 脚の施術を行っていると、腹の内臓が動き出してお腹がコロコロ鳴りだすことがあります。脚のエネルギーラインはお腹につながっていて市への刺激がお腹への刺激となっていることがよくわかります。

指の先から頭の先までほぐしていきます。

脚部を十分にほぐした後は、胸筋、腕、腹部、肩、 首、頭と顔を施術して行きます。人間の筋肉は必ず対になっていて、互いに引き合っています。肩が凝っているのは実は胸側の筋肉が肩部を前に引っ張り出しているため肩甲骨側の筋肉が前に引き出されて緊張している状態。肩だけをほぐしても胸側がほぐれていないとまた引っ張られてコリが戻ってしまいます。このため胸の筋肉のほぐしを行ってから肩の筋肉のほぐしをしなければならないのです。親指を使ったり、手掌を使ったり、肘を使ったり、膝を使ったり、セラピストは自分自身の身体のあらゆる箇所を用途に応じて使い、レシーバーの身体をほぐしていきます。

ストレッチ

タイ古式マッサージは、「二人で行うヨガ」、「怠け者のヨガ」とも呼ばれています。ヨガのようなダイナミックな動きのストレッチはタイ古式マッサージの醍醐味と言えるでしょう。普段の生活は前かがみの状態が多く、後ろに反るような動きはなかなか出来ません。筋肉もそれに合わせて身体の前側の筋肉は縮んだ状態で後ろ側が伸びた状態になってしまいます。そんな状態が続くと胸の奥の肺が圧迫され呼吸が浅くなり、徐々に腰痛であったり肩コリなど不具合の状態になってきます。ストレッチはそんな縮んでしまった筋肉をもとの長さに戻します。しかし、自分で一生懸命にストレッチをしようとしてもなかなかできません。痛かったり、苦しかったり、一所懸命にストレッチをすることが実はストレスだったりします。タイ古式マッサージでは瞑想のような状態で意識することなくゆったりとストレッチを受けることができます。

座位で目覚めます

タイ古式マッサージは仰向けの状態で始まることが多いです。足から始まり、脚を施術して身体の前面、デコルテ、腕、手、その後頭部の施術をして、うつ伏せに姿勢を変えます。また足から始まって脚、臀部、腰のように上半身に上がっていきます。背中から肩、首、頭部まで行い、全身が十分胃ほぐれた状態で背中を大きくそらすなど、ダイナミックなストレッチを行っていきます。さらに必要に応じて横向きで身体の側面の施術を行います。
最後に座位で全身のストレッチを行い、瞑想の状態からしっかり覚醒するためにタッピングを行っていきます。